泣いてる君に恋した世界で、


やっぱりさっき死ぬべきだった。


小学生の声に反応さえしなければ。

今頃あの世だった。

耳なんて無ければよかったのに。
俺の身体が機能してなきゃよかったのに。

そうじゃなきゃ俺の覚悟と決意が無駄になる。

もう生きたくないんだ。お願いだから。俺に死に場所をくれよ。なあ。

気付けば手すりに掴まったまましゃがみ込んで泣いてた。

ハ、なに馬鹿みたいに泣いてんの俺。
ダセェし、馬鹿すぎる。
息がまともに出来ないし。ハ、なにこれ。笑うんだけど。


……そうだ。このまま息絶えちゃえばいいじゃん。


泣きじゃくるなんてこと今まで生きてきて初めてだった。 こんなにも苦しいなんて知らなかった。

だから、嬉しかった。

本当に感情が暴走しすぎて麻痺しちまったみたいだ。いいけど全然。むしろこのまま死ねるんだと思えば全然平気。本望本望。補助無しで綱渡りするくらい平気。


この胸の内を誰かに聞かれたらさすがに引くだろう。だってやべぇ奴だもん。


なのに。



「ぅぁっ……くっ……あぁ……ッ」


なんで苦しそうに酸素を求めようとしてるんだ。



「……ッ……死なせて、っ、くれ、よ……」


なんでこんな必死に呼吸しようとしてるん。


散々死にたいと願ってたはずだろ。今が絶好のチャンスだろ。酸素なんて求めるな。呼吸を止めろ。するな。泣くな。


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