泣いてる君に恋した世界で、

一体いつまでこうしているつもりなんだろうか。

とっくにウザい夕陽は沈んでいるのに。いつまで俺はここにいるつもりなのだろう。早く死にたいのに。

呼吸が止まるどころか涙も止まってるし、ちゃっかり落ち着きを取り戻してる。



「……まじ何してるんだろ俺………」


重い腰を上げ真っ直ぐ立つけれど、体力はそう簡単には回復してくれないみたいだ。

ギギと鈍い音は俺が寄りかかったことを示す。


ただ、もうひとつカチャンと甲高い音が上の方からした気がした。

後方上部には梯子が掛かったスペースがあるらしい。だがそこには何一つ動くモノが無い。

確かに上の方から音が聞こえたはずだと自問自答する自分に少し恐怖を覚えた。


ハハ……まさか。あるわけないない。そんなの存在すらしてない。“見た” ことだって一度も、無いし……。

ヒヤリとした汗が背中を伝った。何故か反射的に勘違いして情けない声が出た。

思わず口元を押さえる。

その姿はきっと滑稽だろう。第三者からみると。

病院の屋上。夜。奇妙な音……。

このセットではさすがの俺でも連想される。

これは無理。本当に無理なやつ。

よく夏の特番でやる心霊番組なんかでも拒絶反応起こすくらい無理なんだよ。

だけど妹は結構好きみたいで。むしろ興味があるらしい。結局強がって一緒に見る なんてことは多々ある。

妹には言えない。本当はめちゃくちゃビビりながら観てるなんて。死んでも。


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