未来の種
「公親くん、忙しそう…。」

「まあ、俺はこれが仕事だから。今年は担任持ってないけど、年度始めから結構活躍中だよ。…で、どうしたの? なんかあった?」

どうしよう…。とっても忙しそうだ。

「あー…。うーん。ちょっとお願いがあったんだけど……」

「ひょっとして、幼稚園を代表して来てる?
それとも、個人的な相談?」

「あ、えーと、幼稚園の代表です…。
幼稚園でもね、動画配信をしていこうって、職員会議で決まったんだけど…誰も出来ないの。今まで、事務局頼りだったから、動画をどうやってホームページにアップしたらいいのかわからなくて。」

「なるほど。つまり、俺にレクチャーしろと。」

「…はい。その通りでございます…。
でも公親くん、忙しそうだよね…。」

「いや、とりあえずセッティングは終わったし、校長の撮影は明日なんだ。
それに、うち(高等部)は俺以外にもさっきの2人がいるから、なんとでもなるよ。」

「ほ、本当⁉︎ 」

「ああ。幼稚園、困ってるんだろ?
美衣子の頼みだ。なんとかするよ。時間外にそっちへ行ってもいいし。」

「ありがとう〜〜! 助かるよ〜。
じゃあ、念のため教頭に挨拶に行くわ。」

「それは教頭、喜びそうだな。」

現在の教頭は私の担任だった高橋先生だ。担任を持つのは私の学年で最後だったと思う。

「フフフ。高橋先生、ちゃんとタバコやめてる?」

「…いや、あれはこっそりやってるな。たまに臭いがするんだ。」

「えー? よし、またお説教しなきゃ!」

「美衣子は怖いからなぁ。お手柔らかに。」



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