未来の種
「香ちゃん、実家は? 継がなくていいの?」

確か、隣県の大病院のお嬢様のはず。しかも一人娘だ。

「ああ、従弟がいるんだ。男が2人。
2人とも既に医学部生らしいから、香は自由にしていいことになってる。」

「そうなんだ。次男と1人娘だから、昇ちゃんが婿入りするのかと思った。」

「俺は別にどっちでも良かったんだけどな。でも、廣澤の男子が2人もいるんだ。お義父さんも2人のどちらかが継ぐことを認めている。俺が婿入りしたらややこしいだろう。変な火種はない方がいい。」

「確かにね。じゃあ、自由でなによりだ。」

私と昇平は昔から仲が良い。今でさえ離れていて寂しいのに、本格的にここへ移住するとなると、ますます寂しくなるなぁ。

「ほら、さっさと食べろ。寿貴先生を待たせてしまうぞ。」

「うん。そうだね。」


これから私は検査をする。



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