未来の種
焦燥感に駆られながら、NYで過ごす毎日。

俺は一体何をやらかしたんだろう? 
何かを見落としていた?

別れる日までの美衣子を何度思い返しても、理由がわからなかった。

気になる人はきっといない。何故だかそれだけは確信があった。何か他に理由があるはずだ。

どうしても納得がいかなくて、俺は美衣子に1番近い存在である、次兄の昇平に電話をかけた。

「優⁉︎ お前…NYからか?」

「昇ちゃん、美衣子は元気にしてる?」

「いや、俺も会ってないんだ。美衣子、一人暮らしを始めただろう? クリニックの上に。
引越しの時、パソコン関係のセッティングに行ったけど、それ以来会ってないな。
俺も仕事始めたところだろう? 
なかなか時間が取れなくて。」

「…そっか。昇ちゃんも社会人一年目だったよな。忙しい時にごめん。」

「いや、別にいいけど、なんだ? 
なんかあったのか? 
わざわざ俺にかけなくても、美衣子にかければいいだろう?」

「……美衣子、出ないから。」

「出ないって、…どういう意味だ?」

「日本を立つ前日に、別れようって言われた。それまで、一切そんな雰囲気なかったのに、突然なんだ。」

「別れる? 美衣子がそう言ったのか? 
まさか…何かの間違いだろう?」

「……言われたんだ、本当に。
気になる人がいるから別れるって。
遠距離は無理だって。」

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