未来の種
それからも、不安な思いに駆られながら、ただひたすら、昇平からの連絡を待った。

昇平からやっと連絡があったのは、日本のゴールデンウィークが終わる頃だった。

やっとかかってきた電話だったが、告げられた内容は、何とも言えないものだった。

「優……今は、そっとしてやって欲しい。」

「昇ちゃん…?
どういうこと? 美衣子に何かあったの⁉︎ 」

「悪い…俺からは何も言えない。
あいつも、よくよく考えてのことなんだ。今は俺も、美衣子の想いを尊重したい。」

「美衣子の想い? 想いってなんだ? 昇ちゃん、何を知ってるの?」

「…俺が言えるのは、ひとつだけだ。
優、お前は今自分のすべき事を全力でするんだ。そして、ちゃんと成果を出せ。美衣子がお前を突き放したその想いを無駄にするな。」

「昇ちゃん? それどういう意味だよ⁉︎」

「そのままの意味だ。今俺が言ったこと、忘れるな。
…メールアドレス、変わってないんだろ? 
気が向いたら、たまに連絡する。
優、結果を出せ。頑張れよ! じゃあな。」

「昇ちゃんっ‼︎ 」

そう言って、一方的に電話を切られた。

その後、昇平は約束通り、定期的にメールをくれたけど、美衣子の事には触れていない事が多かった。それでも俺は、昇平がメールをくれる限り、美衣子とまだ繋がっていられる気がして、そのメールに励まされた。

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