未来の種
それから2年半。俺は、MMを卒業し、世界デビューに向けてコンクールに挑んだ。

しかし結果は2位。
1位なしの2位だったとはいえ、2位は2位だ。本当のトップにはなれなかったということだ。
悔しかった。
寝る間も惜しんでこの日のために練習を重ねてきたんだ。早く、早く美衣子に会いたくて。
でも、このままじゃ帰れないだろう。
2位なんて結果に、母は満足するだろうか…。
期待に応えられない自分の不甲斐なさに落ち込んだ。

次のコンクールを目指すべきか…。
もうここで切り上げるべきなのか…。
悩む日々が続き、年が明けた。

美衣子と別れてもうすぐ3年になる。
どうしているだろうか…。
もうすっかり幼稚園の先生が板についていることだろう。
藤田先生?それとも美衣子先生かな? 
園児達に、なんて呼ばれているんだろう…。

そんな事を想像していると、久しぶりに昇平からメールが来ていることに気づいた。
開けて内容に驚いた。いつもの近況報告とは違う。要件のみが書かれていた。

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