未来の種
なんで? なんでそんな事言うの?
私の心の奥の一番醜い部分に、優は踏み込んでこようとする。
…そうよ。私が優の子を産みたいに決まってるじゃない! 

「…優のバカ…。
なんでそんな事言うのよ…。
ほ、欲しいに決まってるじゃない。優の子、産みたいに決まってるじゃない! 
私、必死で我慢してきたのに! 
優に幸せになって欲しいから、必死で我慢してきたの! なんで? なんでよー‼︎」

限界だった。
落ち着いて話をしよう。絶対に泣かない。
…そう決めてたのに。

自分の気持ちを曝け出して、困らせて、醜い私を見せたくなかったのに…。

優のせいで、全然出来ない。
全部無駄。
決壊した涙は、もう止まらない。

「バカ… 優のバカ!
わ、私、こんな事、言うつもり、なかった…」

「いいんだよ。俺に、全部ぶつけてくれていいんだ。」

「バカ優!……好きなの。ずっとそばに居たいの。優のそばで、優の子供を産んで、2人で幸せな家庭を作りたかったの。家族になりたかったの。
ごめんね、ごめんね、優ごめん…」

優が抱きしめてくれる。
涙が止まらなくて、こんなに泣いたのはいつぶりだろう…。
ずっと堪えてきたものが、溢れ出してしまう。

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