未来の種
ほぼわかっていた結果だったので、落胆もそれほどなかった。それどころか寿貴先生の話によると、僅かながらも左は見込みがあるらしい。

「それとね、子宮奇形も気にしていたようだけど、画像を見る限り確かにあるね。弓状だ。でも、これはあまり気にしなくていい。妊娠できる許容範囲だからね。どちらかというと問題は、事前に送ってもらった採血の結果の方なんだ。」

子宮奇形は問題ないの? 本当に?
良かった…。自分なりに調べたところによると、この子宮奇形は母親の胎内にいる時から始まっていたものらしい。それもあって、本来なら真っ先に相談したい母親に相談ができなかったのだ。突然変異は仕方がないことであっても、きっと母は気に病むだろう。

「今までは低用量ピルで内膜症の症状を抑えられていたんだね?」

「はい。飲み出してからは人並みの生活ができるようになりました。」

「今はどう? 9月から止めてもらっているけど。」

大学卒業間際の検査からずっと、低用量ピルを服用し続けてきた。子宮内膜症の治療のためだ。でもこの夏、昇平の紹介で寿貴先生に診ていただくことになり、冬休みの治療の為、9月から服用を止めている。

「やっぱり、お腹は痛いですね。量も増えたように思います。」

「そうか…。それは大変だったね。仕事に差し支えなかったかい?」

「痛み止めが何とか効いたので……大丈夫です。それに痛みには慣れていますから。」

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