色のない世界に恋のうたを
『波美は、俺を愛してくれる?』
「うん、愛してるよ」
『それなら、君が白鳥に姿を戻した時に僕に口づけをさせて欲しい』
「ありがとう、龍斗くん」
やっと人間に戻れる。
そして、愛する人と出会えて幸せに暮らせる。
そう思っていたのに、
[波美、お前が幸せになることだけは絶対に許さない]
「…悪魔、」
『お前が、彼女を!』
[はっはっはっ、どうにも出来ないお前たちが惨めで可哀想なくらいだ。 波美よ、お前が人間に戻れるなんてありえないんだよ]
「お願いだから、邪魔しないで!」
[お前の幸せなど、全て奪ってやる]
そう言って、悪魔は私に近づき強引にキスをした。
[ん、…はぁ、っはははは!悪魔のキスは私の家畜の証さ。 夜が明けたら君は一生白鳥のまま人間に戻れない]
『お前、なんてこと!』
そう言って龍斗くんが、狩猟で使う銃を悪魔へ向ける。
俊敏な動きで逃げ回る悪魔を、狩人のように仕留める。
鈍い音が響きわたり、悪魔は倒れていた。
彼の腰についていた剣を抜き、悪魔の心臓へ刺す。
[愚かな…や、つめ………]
悪魔は息をせず、ただの屍となった。
「…死、んだ」
『…もっと、早くこうすれば』
そう言って、私に駆け寄りキスをする。
まるで消毒をするように、さっきの悪魔の感触を消すように。
でも、呪いが解けることはなかった。
「…龍斗くん、ごめんなさい。 私明日、お城へなんか行けない」
『……波美』