すてきな天使のいる夜に〜2nd Sstory〜
ーside 沙奈ー
意識を取り戻してから2週間が経っていた。
自分でも驚くくらいに回復しているのが分かる。
私は、いつものようにリハビリのスタッフに連れられ、リハビリ室へ向かった。
ずっと眠り続けていたせいか、筋力がかなり落ちてしまい今は歩くことも難しかった。
「沙奈ちゃん?」
「奈子ちゃん!」
「どうしたの?ここで。」
「それ…。こっちのセリフ…。」
「私ね、生まれた時から病気があるのよ。
それで、たまに入退院繰り返してるんだ。
ここは兄貴もいるし、みんなが優しくしてくれるから安心できるの。」
気づかなかった。
奈子ちゃんが、病気だったなんて…。
難しい病気なのかな…?
だけど、それ以上は聞いてもいいか分からなかった。
それより、兄貴って言ったよね?
「ここ、お兄さんが働いているの?」
「そうだよ。私のいるところじゃないんだけどね。
加須見玲音っていう先生、知らない?」
加須見?
私の旧姓。父親と同じ苗字。
まさか…ね。
「だけど、奈子ちゃんの苗字って…」
「ちょっと複雑な事情があって、私小さい時に養子縁組をしてもらったの。
引き取られた先の家の人達の苗字なんだ。
すごく優しい人達なんだけどね。
私の兄貴は、あのクズの父親と同じ苗字なんだ。
でも、兄貴はあんな父親でも自分が面倒見なきゃって言って、あいつから離れず医者になったの。
あいつも、兄貴のお金を頼りにしているからか、兄貴には手を出さないらしいの。」
私は、頭が追いついていかなかった。
だって、私のお母さんはたしか私が生まれた時に亡くなったんだよね?
「ごめん、こんな暗い話されても困るよね。」
頭が真っ白になり、何も考えられなくなっていたせいで奈子ちゃんの言葉に上手く返すことが出来なかった。
そんなことより、私のお母さんとあいつは結婚していたのに、他の女性と浮気をしていたってことなの?
そしたら、奈子ちゃんと私は…。
「沙奈、大丈夫?」
「あっ、大丈夫。
ごめん、ちょっと疲れちゃった。
私、病室に戻るね。
仲三河さん、今日は病室に戻ってもいい?」
リハビリの担当をしてくれている仲三河さんにそう伝え、車椅子を押してくれて私は病室に戻ってきた。
奈子ちゃんの言っていた言葉が、頭から離れなくなっていた。
奈子ちゃんは、知っているのかな?
知ってて、あえて私に近づいたの?
奈子ちゃんの本当のお父さんが、もし私と同じ父親だとしたら奈子ちゃんも同じように傷つけられて来たのだろうか。
養子縁組をしたっていうくらいだし、クズって言っていたから、きっと同じようなことをされてきたのかもしれない。
そう考えると、本当にあの人は最低だ。
許せないという怒りの感情が、心の中から溢れ出そうだった。
それから私は、怒りの感情とやり切れない悔しい気持ちが複雑に入り交じっていた。
考えることで疲れてしまい、怒りから無気力へと変わりベッドから起き上がることができなくなっていた。
意識を取り戻してから2週間が経っていた。
自分でも驚くくらいに回復しているのが分かる。
私は、いつものようにリハビリのスタッフに連れられ、リハビリ室へ向かった。
ずっと眠り続けていたせいか、筋力がかなり落ちてしまい今は歩くことも難しかった。
「沙奈ちゃん?」
「奈子ちゃん!」
「どうしたの?ここで。」
「それ…。こっちのセリフ…。」
「私ね、生まれた時から病気があるのよ。
それで、たまに入退院繰り返してるんだ。
ここは兄貴もいるし、みんなが優しくしてくれるから安心できるの。」
気づかなかった。
奈子ちゃんが、病気だったなんて…。
難しい病気なのかな…?
だけど、それ以上は聞いてもいいか分からなかった。
それより、兄貴って言ったよね?
「ここ、お兄さんが働いているの?」
「そうだよ。私のいるところじゃないんだけどね。
加須見玲音っていう先生、知らない?」
加須見?
私の旧姓。父親と同じ苗字。
まさか…ね。
「だけど、奈子ちゃんの苗字って…」
「ちょっと複雑な事情があって、私小さい時に養子縁組をしてもらったの。
引き取られた先の家の人達の苗字なんだ。
すごく優しい人達なんだけどね。
私の兄貴は、あのクズの父親と同じ苗字なんだ。
でも、兄貴はあんな父親でも自分が面倒見なきゃって言って、あいつから離れず医者になったの。
あいつも、兄貴のお金を頼りにしているからか、兄貴には手を出さないらしいの。」
私は、頭が追いついていかなかった。
だって、私のお母さんはたしか私が生まれた時に亡くなったんだよね?
「ごめん、こんな暗い話されても困るよね。」
頭が真っ白になり、何も考えられなくなっていたせいで奈子ちゃんの言葉に上手く返すことが出来なかった。
そんなことより、私のお母さんとあいつは結婚していたのに、他の女性と浮気をしていたってことなの?
そしたら、奈子ちゃんと私は…。
「沙奈、大丈夫?」
「あっ、大丈夫。
ごめん、ちょっと疲れちゃった。
私、病室に戻るね。
仲三河さん、今日は病室に戻ってもいい?」
リハビリの担当をしてくれている仲三河さんにそう伝え、車椅子を押してくれて私は病室に戻ってきた。
奈子ちゃんの言っていた言葉が、頭から離れなくなっていた。
奈子ちゃんは、知っているのかな?
知ってて、あえて私に近づいたの?
奈子ちゃんの本当のお父さんが、もし私と同じ父親だとしたら奈子ちゃんも同じように傷つけられて来たのだろうか。
養子縁組をしたっていうくらいだし、クズって言っていたから、きっと同じようなことをされてきたのかもしれない。
そう考えると、本当にあの人は最低だ。
許せないという怒りの感情が、心の中から溢れ出そうだった。
それから私は、怒りの感情とやり切れない悔しい気持ちが複雑に入り交じっていた。
考えることで疲れてしまい、怒りから無気力へと変わりベッドから起き上がることができなくなっていた。