限られた時間〜愛する気持ちを伝えたい、でも……
第五章 どうしたら行けるの黄泉の国
次の日、私は中村さんを問いただす為に会社の前で待ち構えていた。

そこへ中村さんが出社してきた。

「すみません、驍の事詳しく教えて頂けますか、喫茶店でのお話の続きを聞きたいんです」

中村さんは何のことだかさっぱり分からず、でもはたと気づいた様子だった。

喫茶店で一緒だったのはこの人。

「あっ、あのう、スカーフ忘れましたよね、これ」

そう言って、中村さんは私にスカーフを手渡した。

「あっ、ありがとうございます」

私はスカーフを受け取った。

この人イコール霊体さんなのか。

驍に何が起きてるのか、知りたかった。

もう、現実から目を背けることは出来ない。

「教えてください、驍に何が起きたのか」

「その前にこの間の喫茶店でのことだけど、僕が君を呼び出したんですか」

「はい、そうです」

中村さんは心当たりがない様子だった。

それに、全くの別人のように見える。

中村さんは霊体さんじゃない。

それじゃ、霊体さんは驍なの?

「あのう、申し訳ないんだけど、全く君を呼び出した記憶がなくて、
そもそも、君は誰なんですか?」

「驍と付き合っていました、浜咲琴葉と言います」

「コンビニの海斗の彼女?」

私は小さく頷いた。
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