七色の魔法使い#特別編~大きな虹を描いて~
「え……?」

僕と冬都の声が重なる。妖魔は素早い動きで冬都の握ってた刀を弾き飛ばして、冬都の体を持ち上げた。

「……どういうこと?僕、あの妖魔と戦った記憶が無いんだけど……」

そんなことを疑問に思いながら、僕は妖魔を見つめる。……多分、僕が過去に来たことで何かが変わってしまったのかもしれない……分からないけど。

そこへ楓(かえで)と凛兄が同時に妖魔に攻撃を仕掛けるけど、妖魔は平然とした顔で皆を見つめていた。

「……輝一、これは……?」

輝一の双子の弟の大智(だいち)と紫月(しづき)は、驚いた顔で妖魔を見る。

「……分からない」

輝一は、そう言って首を横に振った。凛兄がフォルトゥナにいるってことは、僕が昔付けてたあの髪留めは割れてるな。

……時間を把握するのは後にしよう。今は、あの妖魔をどうにかしないと。

僕は足に力を入れて、跳ぶ。そして、妖魔の目の前に着地した。無言で転がってる冬都の刀を拾う。

……懐かしいな、この感覚……。

「あなたは誰ですか!?」

後ろからアイビーの声が聞こえてきた。ごめんね……今は、答えられない。

僕は刀を握り締めると、妖魔に向かって走り出す。刃に、青い炎が纏わりついた。

……ユキヤ様の力も使えるんだ……何でだろ……?

「……」

僕は妖魔の攻撃を避けて、冬都を掴んでる手を狙う。
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