七色の魔法使い#特別編~大きな虹を描いて~
手を斬り付けると、妖魔は冬都を離した。僕は、冬都の体を受け止めると素早く妖魔から離れる。

アイビーに近付いて、僕はそっと冬都を地面に寝かせた。

「……冬都!」

「大丈夫。妖魔に眠らされただけだから」

近付いてくる皆にそう言って、僕は妖魔の方を向く。

「……さっきの声……お前、冬都……か?」

輝一の声に、僕は輝一の方を向いた。そして、フードを脱いで皆に顔を見せる。

「……そうだよ。理由は後で説明する……あの妖魔は僕に任せて」

『お前一人で倒すの?無理だって!』

そう言って、妖魔は笑い出した。

「……そんなの戦ってみないと分からない」

僕は刀を構えて、妖魔を見据える。妖魔は完全に僕を舐めてるようで、笑ったままだ。

「……」

僕は魔法で妖魔の背後に回り込むと、妖魔の首に刃を突き付けた。

「僕は、何年も刀を握ってないよ。でも、体は覚えてたみたいだ」

妖魔は、慌てて僕から距離を置く。その姿を見て、今度は僕が笑った。

「……どうしたの?そんなに慌てて……」

妖魔は、いつの間にか手に持ってた長い棒を振り下ろす。僕はそれを飛び退いて避けると、悪霊を見据えた。

『面白いな……お前……』

妖魔は、そう言って笑う。
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