Shyなtownのりんご姫！

大抵、こう言った場面では、積極的に動こうとする生徒は少ない。皆がまごまごしているその時、人一倍ちぢこまっている一人の女の子がいた。倫子である。

―誰も手を上げないなんて。このままじゃ、クジ引きになっちゃう。もしそれで、私が当たっちゃったら…―

倫子は、すでにその役目が当たってしまっているかのごとく、ツインテールの髪の毛をプルプル震わせながら、顔を真っ赤にしてうつむいていた。
その頃、倫子とは全く逆の事を考えている女の子がいた。少しウェーブのかかった茶色の髪を左手でかき上げながら、そっと右手を上げた。

「少し迷ったけど、やってもいいかな。みんなも、もったいないよ。こんなチャンス、三年間の学園生活で、したくても一度も当たらない人だっているんだから！」

倫子とは違って、はきはきとものを言う子で、名前を「深川舞」と言った。