転生したらまさかの悪役!?
騎士の目が変わり始める。僕はまっすぐ騎士を見つめたまま、続けた。ゾロゾロと僕の後ろから人狼や動物たちが姿を見せる。

「僕たちは、この森でこれからも平穏に暮らしていきます。だから、僕たちから居場所を奪わないで」

僕はそう言い、剣から手を離す。手は血だらけで痛かったけど、表情は変えない。

「……帰るぞ」

騎士は俯いた後、仲間たちにそう言う。仲間たちは騎士に反論していたけど、騎士は「帰るぞ!」と強く言い、歩いていく。

「すまなかった」

そう騎士は小さく呟き、帰っていく。その後ろ姿を見届けた後、僕はリバーたちに抱き付かれる。

「やった!」

「よかった!」

「うまくいったな!」

うまく気持ちを言えてよかった……。僕は嬉しくなって、安心して、泣きそうになってしまう。

僕はヒーローじゃなくてもいいから、誰かを守りたかったんだ。ファンタジー小説に出会う前はいつもそう思っていた。

大切なことを思い出した夜、僕たちは平和な日々が続くことを喜び、ささやかなお祝いを楽しんだ。
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