転生したらまさかの悪役！？

天才から数年、僕は今、森の中を一人で歩いている。人狼は満月の夜にしか狼にならないため、今はただ森を歩く人間にしか見えないだろう。

「ハンス！こっちこっち！」

この世界での僕の名前を呼ぶ声がする。僕が上を見ると、巨大な木の上に同じ人狼の友達がいた。サスペンダーパンツを履いて僕に手を振っている。リバーだ。

「リバー、すぐそっちに行くよ」

僕は木を見上げ、登っていくルートを立てる。そして迷うことなく木を登り始めた。人狼は人間ではないため、運動神経は比べ物にならないほどいい。あっという間にリバーの隣に行くことができた。

「突然呼び出してどうしたんだよ」

僕が訊ねると、リバーが少し遠くを指差して「あの果物、おいしそうじゃない？みんなに持って帰りたいんだ。手伝ってほしくて」と言う。リバーの指差す先には、壺のような形をしたピンク色の果物があった。モネの実だ。上品な甘さがあり、好きな人が多い果物だ。

「いいね。二人ならたくさん持って帰れる」