転生したらまさかの悪役!?
僕らの間に暗い空気が流れ、戦うべきか逃げるべきか、話し合いが続いた。

僕の心臓はドクドクと音を立てていた。手が緊張からか汗をかいている。まさか、前世で憧れていた騎士に命を狙われているなんて……。

「ハンス、大丈夫?気分が悪かったら向こうで休んでいいよ」

リバーが僕を心配げに見つめる。僕は「大丈夫だよ」と言って考え続けた。

ここにいる人狼たちは、みんな優しい。誰も人を襲わない。なら、何も知らない騎士たちの方が悪役なんじゃないか?

僕は拳を握り締める。こんな作戦、みんなを危険に晒すだけだ。でも、僕はここにいるみんなを殺されたくないし、誰かを傷付けさせたくもない。

「みんな!聞いてほしいんだ!」

僕は緊張しながら口を開く。全員の視線が集まった。



作戦会議から数日、僕たちは木の陰に隠れて様子を伺っていた。遠くからは数人の足音と松明の燃える音が聞こえてくる。

夜、リスから騎士たちがこっちに向かっていると聞き、僕たちは作戦を決行することにした。女性や子どもは遠くへ避難してもらっている。

< 7 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop