転生したらまさかの悪役!?
僕は拳を握り締め、リバーたちに動かないように手で指示をし、木の陰から姿を見せる。騎士たちが剣を向け、睨み付けてきた。

「この森に住んでいるのはお前だけじゃないだろ?他の化物はどこだ?」

騎士に剣を突き付けられた。普通なら、とても怖いのかもしれない。でも僕の心には今、恐怖よりも大きい感情がマグマのように心の中で動き回っている。

「……僕は、あなたに憧れていた。強くて、多くの人を守れる、そんな人に僕はなりたかったんだ」

「お前は人じゃない。化物だ」

僕の首に冷たい刃の感触が触れる。僕は迷わずにその刃を掴んだ。手が切れて真っ赤な血が滴り落ちる。でも、僕は表情を変えずに驚いた様子の騎士を見つめた。

「僕たちは、誰も殺したり襲ったりなんかしていない。僕らは勝手に危険視されて、この森に追いやられた。僕たちにはこの森にしか居場所がない。だから、この場所から一歩も外に出ていない。そのことくらい知っているはずだ。なのにどうして、僕らを殺そうとするの?」
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