毒蝶
ゲームオーバー
「また毒殺ですか、最近多いですね」


柴崎は死体を前にして、文句を言う。


「やっぱり連続殺人……ですかね」
「まあそう考えるのが妥当だろう。ただ、どの事件も共通点は使われた毒だけ。殺された男たちは全員無関係だ」


柴崎とコンビを組んでいる繁田が答えると、柴崎は大きくため息をついた。


「これで五件目。またいつ次の事件が起こるかわからないのに、手がかりはいつもなし」


繁田は悔しそうな顔をして黙る。


柴崎はそれ以上は言わず、室内を調べ始めた。


気になって手に取ったのは、日記帳だ。


開いて数日間のものを読む。


『思わず彼女に声をかけていた。これが一目惚れというやつだろうか。わからないけど、僕なりに彼女を守ろう』

『彼女の名前はルナというらしい。可愛い名前だ。僕たちの関係も進展した。世界が変わって見える』

『僕だけのルナ。誰にも見せたりはしない。君は写真は嫌いだって言ったけど、やっぱり一枚くらい持っていたくて、隠し撮りしてしまった。ルナがこれを見つけたら、怒るかもしれないな』


その文字が綴られたページに、一枚の写真が挟まっていた。


「……繁田さん。この写真の女性、なんか見覚えある気がするんですけど」


写っているのは女性の寝顔だ。
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