毒蝶
「最初の殺人事件は五か月前だ。ありえなくはないだろ」
「偶然じゃないですか?」
先に否定されたことが面白くなかったのか、柴崎は繁田の意見をすべて否定していく。
「……じゃあそれでいい。俺たちは今から、行方不明者、黒瀬彩羽を探す」
「は……はあ!?いやいやいや、殺人事件は!?」
慌てふためく柴崎をよそに、繁田は外に出る。
コンビで動くことが鉄則であるため、柴崎は繁田を追う。
「落ち着けよ。黒瀬彩羽は行方不明者であり、佐野逞の恋人だ。探すことに問題あるか?」
「……ないです。でも待ってください。佐野逞の日記に書かれていた恋人の名前は、ルナです。他人の空似かもしれません」
自分で写真を見て「黒瀬彩羽」の名前を出したのに、柴崎はそれすらも否定した。
「偽名か……ますます怪しいな」
しかし繁田は写真の女性が黒瀬彩羽だと信じて疑わない。
「……根拠は」
「刑事の勘」
柴崎はため息をこぼす。
そのとき、視界の端にある女性が入った。
「……いた」
「ん?なんか言ったか?」
「いました、黒瀬彩羽!」
柴崎は繁田を置いて、走り出した。
「あの!」
急に呼び止められ、女性は驚く。
「黒瀬彩羽さん、ですよね」
警察手帳を見せながら尋ねると、彼女はゆっくりと口角を上げた。
「偶然じゃないですか?」
先に否定されたことが面白くなかったのか、柴崎は繁田の意見をすべて否定していく。
「……じゃあそれでいい。俺たちは今から、行方不明者、黒瀬彩羽を探す」
「は……はあ!?いやいやいや、殺人事件は!?」
慌てふためく柴崎をよそに、繁田は外に出る。
コンビで動くことが鉄則であるため、柴崎は繁田を追う。
「落ち着けよ。黒瀬彩羽は行方不明者であり、佐野逞の恋人だ。探すことに問題あるか?」
「……ないです。でも待ってください。佐野逞の日記に書かれていた恋人の名前は、ルナです。他人の空似かもしれません」
自分で写真を見て「黒瀬彩羽」の名前を出したのに、柴崎はそれすらも否定した。
「偽名か……ますます怪しいな」
しかし繁田は写真の女性が黒瀬彩羽だと信じて疑わない。
「……根拠は」
「刑事の勘」
柴崎はため息をこぼす。
そのとき、視界の端にある女性が入った。
「……いた」
「ん?なんか言ったか?」
「いました、黒瀬彩羽!」
柴崎は繁田を置いて、走り出した。
「あの!」
急に呼び止められ、女性は驚く。
「黒瀬彩羽さん、ですよね」
警察手帳を見せながら尋ねると、彼女はゆっくりと口角を上げた。