毒蝶
「今どきの警察ってもっと使えないのかと思ってた」
その笑みは不気味と言うに相応しかった。
「……どういう意味ですか」
柴崎が言うと、黒瀬彩羽は柴崎の耳元に顔を寄せた。
「五人殺さないと私にたどり着けなかったじゃない」
背筋が凍った。
柴崎は黒瀬彩羽から距離をとる。
「柿川海人、村雨慎二、真鍋和臣、柳康太、佐野逞を殺したのはお前か」
確認をすると、黒瀬彩羽はくすくすと笑う。
「正解。でもそんな怖い顔しないで?せっかくの可愛い顔が台無し」
黒瀬彩羽の手が伸びてきても、柴崎は動けなかった。
しかし繁田がその手首を掴んだ。
「……署までご同行願う」
黒瀬彩羽は抵抗することなく、車に乗り込んだ。
◆
私は小さい頃から父親に暴力を振るわれていた。
上から押さえつけられて。
理不尽な理由で殴られて。
段々痛みを感じなくなった。
でも殴られたりすることで、安心している自分がいた。
それが最近になって、父親に飽きて、他の男に殴られたりしたら、どれだけ気持ちがいいんだろうって思うようになった。
だから、父親の元から逃げた。
男を釣るのは簡単だった。
独占欲を煽って、殴られるのも簡単だった。
その笑みは不気味と言うに相応しかった。
「……どういう意味ですか」
柴崎が言うと、黒瀬彩羽は柴崎の耳元に顔を寄せた。
「五人殺さないと私にたどり着けなかったじゃない」
背筋が凍った。
柴崎は黒瀬彩羽から距離をとる。
「柿川海人、村雨慎二、真鍋和臣、柳康太、佐野逞を殺したのはお前か」
確認をすると、黒瀬彩羽はくすくすと笑う。
「正解。でもそんな怖い顔しないで?せっかくの可愛い顔が台無し」
黒瀬彩羽の手が伸びてきても、柴崎は動けなかった。
しかし繁田がその手首を掴んだ。
「……署までご同行願う」
黒瀬彩羽は抵抗することなく、車に乗り込んだ。
◆
私は小さい頃から父親に暴力を振るわれていた。
上から押さえつけられて。
理不尽な理由で殴られて。
段々痛みを感じなくなった。
でも殴られたりすることで、安心している自分がいた。
それが最近になって、父親に飽きて、他の男に殴られたりしたら、どれだけ気持ちがいいんだろうって思うようになった。
だから、父親の元から逃げた。
男を釣るのは簡単だった。
独占欲を煽って、殴られるのも簡単だった。