毒蝶
5日目
彼女は外に出ることを怖がっていたから、僕は一人で買い物に行く。
彼女が食べたいと言ったものを買って、帰る。
そういった気持ちはないと言い聞かせていたが、こういうことをしていたら、恋人同士のようなことをしている気分になる。
「ただいま」
ドアを開けると、部屋の奥から彼女が小走りで来た。
「……おかえりなさい」
彼女の声はとても小さかった。
でも、これでも出るようになったほうだ。
最初はジェスチャーがほとんどで、会話なんてできなかった。
まあ、男から暴力を振るわれて、同じ男に心を開かないのもわからないこともなかったが。
しかし今では、少しずつ話してくれるようになった。
僕が、彼女を癒すことができているような気がして、嬉しかった。
「フルーツゼリー、買ってきたよ」
まだ靴も脱いでいないのに、僕は袋からゼリーを取り出した。
彼女は柔らかく笑う。
さすがにその笑顔にはときめく。
この笑顔は好きだ、と思った。
「ありがとう」
「これくらいはするよ」
むしろ、これくらいしかできないのだから悲しくなる。
「……いつも、ごめんね……私にしてあげられることがあればいいんだけど……」「気にしなくていいよ。君は外に出られないんだし、これは僕がやりたくてやってることなんだから」
彼女が食べたいと言ったものを買って、帰る。
そういった気持ちはないと言い聞かせていたが、こういうことをしていたら、恋人同士のようなことをしている気分になる。
「ただいま」
ドアを開けると、部屋の奥から彼女が小走りで来た。
「……おかえりなさい」
彼女の声はとても小さかった。
でも、これでも出るようになったほうだ。
最初はジェスチャーがほとんどで、会話なんてできなかった。
まあ、男から暴力を振るわれて、同じ男に心を開かないのもわからないこともなかったが。
しかし今では、少しずつ話してくれるようになった。
僕が、彼女を癒すことができているような気がして、嬉しかった。
「フルーツゼリー、買ってきたよ」
まだ靴も脱いでいないのに、僕は袋からゼリーを取り出した。
彼女は柔らかく笑う。
さすがにその笑顔にはときめく。
この笑顔は好きだ、と思った。
「ありがとう」
「これくらいはするよ」
むしろ、これくらいしかできないのだから悲しくなる。
「……いつも、ごめんね……私にしてあげられることがあればいいんだけど……」「気にしなくていいよ。君は外に出られないんだし、これは僕がやりたくてやってることなんだから」