妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
 カルスはにっこりとカテリアーナに微笑みかけた。

「いいのですよ。ケットシーといえども猫には違いありませんから」
「ところでフィンラス様はどうして猫姿なのですか? 他の皆様は人型でいらっしゃるのに」
「人型よりあの姿の方が迫力があるからですよ」

 カテリアーナは大きい猫姿で騎士たちにテキパキと指示を出しているフィンラスを見やる。その風貌はいかにも『猫の王様』という感じだ。

「確かにそうですわね」

 今、カテリアーナはブチ猫の手当てをしている。ブチ猫は軽い打ち身を負っていたので、患部に湿布をあてるが、巻くものがないことに気づく。

「トランクの中に包帯があったわね」

 包帯をトランクの中から取り出すカテリアーナをブチ猫が不思議そうに見ている。

「どうなってんだ? そのトランク」

 見た目は大判の本くらいのサイズだ。それほどたくさんの荷物が入るとは思えない。

「ああ。これね。『収納魔法』とやらが付与されているんですって」
「マジか? 『収納魔法』は高度な魔法だぞ」
「そうなの?」
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