妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
 フィンラスの問いには答えず、カテリアーナはイアンに目を向ける。その視線は鋭い。

「イアン。マタタビモドキは持っている?」
「ああ。一瓶だけは懐に持っているぜ」
「残りは?」
「ツリーハウスの中だ」

 カテリアーナは弓を背負うと駆け出し、ツリーハウスに登っていく。

「わあ! すごいな。木に登るお姫様なんて初めて見たよ。フィルが言っていたとおりお転婆姫だね」

 拍手をしながらカルスがツリーハウスをするすると登るカテリアーナを見守っている。

「感心している場合か? 追うぞ!」

 フィンラスはノワールの姿に変化すると、カテリアーナの後を追う。


 ツリーハウスに入ると、カテリアーナは周りを注意深く観察する。

「先ほどまで人がいた気配があるわ」
「そのようだな。人間か妖精か分からん匂いが残っている」

遅れてフィンラスが中に入ってくる。鼻をひくひくとさせていた。匂いを嗅ぎ分けているのだ。

「カル。追えるか?」
「いえ。途中で匂いが途切れています。おそらくケットシーの能力を知っているのでしょう。痕跡が消えている」
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