妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
 ジェイドの行動を見咎めたフィンラスが注意をする。

「申し訳ございません。ですが、陛下。カテリアーナ姫は人間と伺いましたので……」 

 言いかけてジェイドは耳に違和感を覚える。飛び出たジェイドの猫耳をカテリアーナがくいくいとしているのだ。知らないうちに耳が飛び出していたことに気づく。

 次の瞬間、ジェイドは思い切り後退る。

「カカカ……カテリアーナ姫! 何を!?」
「あ。申し訳ございません。猫耳が可愛くてつい」

 一連の流れに耐え切れなくなったフィンラスは「ぶっ! あははははは……」と盛大に笑いだす。つられて城の人々も笑い出した。

 ひとしきり笑った後、にやにやとしながら顔を真っ赤にしているジェイドに目を向ける。

「ジェイド。皆も聞け。カテリアーナはもふもふが好きだ。明日からはもふもふな部分を出すことを命じる。耳でも尻尾でも構わぬぞ」
「陛下!」

 異論を唱えようとしたジェイドの声は城に仕える者たちの「はい!」という歓声にかき消された。
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