妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
 まだ、結婚前の男女が会うのだ。二人きりというわけにはいかないので、エルシーに部屋で待機してもらっている。

 入室許可をすると、フィンラスが部屋の中に入ってきた。

「カテリアーナ、疲れているところをすまない」
「いいえ。晩餐前に少しうたた寝しましたので、大丈夫ですわ。フィンラス様こそお疲れでは?」
「俺は大丈夫だ」

 猫は一日の半分は寝ているのだ。しかし、夜行性だったとカテリアーナは失礼なことを考えていた。実際、ケットシーは夜に強いが、だからといって半日寝てばかりではない。生活形態は人間と変わらないのだ。

 カテリアーナの向かい側のソファに座ると、フィンラスは一本の瓶をテーブルの上に置く。

「これは何ですか?」
「果実酒だ。先日、カテリアーナは成人を迎えただろう? 祝いの酒だ。初心者でも飲みやすいものを選んだ」

 どこの国でも飲酒が許されるのは成人後のようだ。カテリアーナも今日初めて酒を飲む。
< 128 / 203 >

この作品をシェア

pagetop