妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
 パールは勝手知ったるとばかりに用意されていたティーポットからカップへお茶を注ぐ。フィンラスと自分の二人分だ。

「カテリアーナ様にお会いして、ジェイドの戸惑いが分かりました。あの方は誠に人間の子供なのでしょうか?」
「ラストリアは『妖精の取り替え子』だと言っている。だから自分たちの本当の娘を探し出して返せとな」
「そのような理由でカテリアーナ様は虐げられていたというのですか? 愚かな」
「そのうち後悔することになるであろうな」

 フィンラスはパールが淹れたお茶を一口飲む。

「ところで、祝福の名のことは教えたか?」
「ええ。初日にお教えいたしました」
「カテリアーナは俺にどのような名をつけると思う?」
「察しがついているのではありませんか?」

「さあな」と言うと、フィンラスは微笑む。すでに察しはついているが、楽しみにしているといった風に……。

「フィンラス様はカテリアーナ様に授ける名を決めておられるのですか?」
「もちろんだ」
「差し支えなければ、お聞きしても?」
「セレンディーナだ」

 セレンディーナとは妖精の国の言葉で「森に祝福されし者」という意味だ。
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