妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
 フィンラスのそばにいると落ち着く。彼の前でだけは本当の姿を見せられる。

 祖母が亡くなってから、常に気を抜くことができなかった。ラストリア王国でカテリアーナが心を許せる相手は誰一人としていなかったからだ。

 久しぶりに訪れた安心感にカテリアーナは心が温かくなる。

◇◇◇

 エルファーレン王宮にフィンラスのドラゴンが降り立つ。

 先触れがあったので、カルスとエルシーが竜舎の前で二人を出向かえる。

 ドラゴンから降りたフィンラスはカテリアーナを横抱きにしていた。

「陛下、おかえりなさいませ。カテリアーナ様!」

 フィンラスに横抱きされたカテリアーナを見て、エルシーが駆け寄る。

「カテリアーナ様はどこか具合が悪いのですか?」
「大事ない。疲れて眠っているだけだ。エルシー、寝支度を頼む」

 帰路の途中、カテリアーナはフィンラスに身を預けたまま、眠ってしまったのだ。フィンラスも敢えて起こそうとはしなかった。

「畏まりました。お部屋までお運びいたしますか?」
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