妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
 カテリアーナは他国のしかも人間族とはいえ王族だ。上座につくことは考えられるが、まだ正式に王妃となったわけではない。

 ラストリア王国では、王族の婚約者は一番上の上座に家族とともに立つのが通例だ。成人の儀で初めて見た王太子である兄の婚約者がそうだった。

「フィンラス様がお望みなのですよ。エルファーレンはケットシーの国です。ケットシーの掟では王の決定は絶対です」
「そうなの? 王命であれば従うわ」
「カテリアーナ様はフィンラス様に愛されていますね」

 頬に手を当てながら、パールがからかう。カルスはフィンラスをよくからかうが、これはパール譲りだ。

「え!? そそそ……そんなことはないでしょう? わたくしは政略の駒なのよ」

 先日、カテリアーナは遠乗りの帰りにうっかりフィンラスに身を預けたまま眠ってしまった。あまりの心地良さについうとうとして、そのまま深い眠りに入ってしまったのだ。気が付いたら、朝だった。

 翌日、フィンラスに謝罪をしたが、「気にするな」と笑って許してくれた。
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