妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
 夜の帳が下りる直前、フィンラスがカテリアーナを迎えにやってきた。

 今夜のカテリアーナの装いは紫の花をあしらったプリンセスラインのドレスだ。バックリボンには羽のような飾りがついており、まるで妖精の姫のようだ。

 装飾品は紫水晶《アメジスト》で統一されている。フィンラスの瞳の色に合わせたのだ。エルシーによって手入れされた艶やかな金色の髪はハーフアップに結われていた。

 元々、美しいカテリアーナには派手な化粧は必要ないと、最低限の化粧しか施されていない。

「美しいな」

 カテリアーナを見た瞬間、フィンラスが目を細め呟く。

「そうだ。カテリアーナ。これを」

 フィンラスは持っていた箱を開ける。中にはティアラが入っていた。土台は白金《プラチナ》でダイヤモンドがふんだんに使われた豪華な代物だ。

「これはティアラですか?」
「そなたは王族だ。ティアラを着けてもおかしくはない。王妃になればあらたにティアラを贈るが、今はこれで我慢してくれ」
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