妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
 時はカテリアーナとパールがテーブルの下で舌戦を繰り広げていた頃に遡る。

 カテリアーナが座るテーブルに矢が放たれたため、舞踏会場は騒ぎに包まれた。だが、ほどなくしてフィンラスとカルスが会場に戻ってきたので、落ち着きを取り戻したのだ。

「陛下! 大変なことが起きましたぞ」
「どうした? ジェイド」

 ジェイドは会場で起きたことをフィンラスに告げる。ジェイドは参加者に挨拶回りをしていたため、異変に気づくのが遅れた。

「それで、カテリアーナは無事なのか?」
「妻とともにテーブルの下に避難されております」

 ひとまずカテリアーナが無事なことを聞くと、フィンラスはほっと胸を撫でおろす。

 カルスが布に包まれた矢をフィンラスに見せる。駆けつけた近衛騎士が毒が塗られていることを懸念して矢を抜き取る時に布に包んだのだ。

 フィンラスは矢を受け取ると、バルコニーの近くに設置されたテーブルに目を向ける。テーブルの下にはカテリアーナがいるからだ。
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