妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
 人間の大半の国では、婚約中とはいえ男女が部屋をともにすることは厭われている。

「安心しろ。結婚するまでは手を出さぬ」

 カテリアーナは疑いの目をフィンラスに向ける。男性は誠実さをアピールしても中身は狼だという。フィンラスは猫だが……。

「どうしても同室でというのならば、フィルには猫姿になってもらうわ。それも王様猫姿ではなく、ノワールの姿よ」
「カティは猫姿がお好みか?」
「もう! そういうことではなくて。カル!」

 フィンラスがからかうので、カテリアーナは部屋の外に待機しているであろうカルスを呼ぶ。部屋をもう一部屋用意してもらうように頼むためだ。

 だが、カルスが入室してくる気配がない。

 扉がノックされ、顔を覗かせたのはエルシーだった。

「カルス様はただいまサファイヤ女王陛下の下に行っておられます」
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