妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
 じろりとサファイヤはカルスを睨む。微笑みを浮かべているが、これが愛想笑いだということは明白だ。

「とぼけるでない。エルファーレンはカテリアーナ姫についてどこまで調べている?」
「調査は簡単にはいきませんよ。伯母上とてそれは承知されているのでは?」

 カルスが指摘すると、サファイヤはむうと唸る。

「本当に可愛げのない。幼い頃は妾に懐いて可愛かったというのに」
「いつの話ですか? ご用件は以上ですか? それならば私は下がらせていただきます」
「何か調査に進捗があれば報せよ」

 一礼すると、カルスは執務室を退室するため扉に向かう。しかし、サファイヤに呼び止められて立ち止まる。内心舌打ちをしたのだが、サファイヤには分からないだろう。

「ああ、そうだ。今夜ささやかだが歓迎の宴を開く。フィンラス殿に伝えておいてくれ」
「承知いたしました」

 また呼び止められては敵わないとカルスは早足で執務室を退室した。
< 195 / 203 >

この作品をシェア

pagetop