妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~

1-5

 フィンラスたちが到着したその日の夜、エルファーレン王国からの賓客(ひんきゃく)をもてなすため、歓迎の宴が開かれた。

 宴はカリュオン王宮内の夜会を開催する会場で行われた。ここも鳥籠の形をしている。

 珍しいことに円形なので席は好きなところに座っていいようだ。フィンラスとカテリアーナはサファイヤの近くに座り、食事と会話を楽しむ。

「カテリアーナ姫は肉や魚が苦手だと聞いたのでな。果物をたくさん用意させたぞ」
「お気遣いありがとうございます。女王陛下」
「サファイヤでよい」

 近くで見ると、姉妹だけあってサファイヤとパールは益々よく似ているとカテリアーナは思った。妖艶な微笑み方、上品な物腰。

「女王陛下、カルヴァン商会の会頭がいらっしゃいました」

 苦労性の侍従が遅れて到着した来客の旨をサファイヤに伝える。

「うむ。ここまで案内せよ」

 しばらくすると、穏やかな物腰の青年が会場へ入ってくる。カルヴァン商会の会頭レイナードだ。
< 196 / 203 >

この作品をシェア

pagetop