妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
「なるほど。それでこの猫を連れてきたのか?」
離宮に帰ってきたカテリアーナはクローディアに猫を連れてきた経緯を説明した。
しっかり手当てされた黒猫は今はクッションに丸まって眠っている。
「しかし、この猫は飼い主がおるのではないか?」
「おばあさまもそう思う? だって毛並みがいいもの。きっと大切にされているのね」
「貴族が飼っている猫かもしれぬな。それにしても……」
じっとクローディアは眠っている黒猫を見下ろすと、自然と口元が緩む。
「もふもふだのう」
「ね! もふもふよね」
クローディアも動物好きなのだ。カテリアーナの動物好きは祖母譲りなのかもしれない。
黒猫は怪我が治るまで離宮で預かることになったのだが、いつしか「ノワール」と呼ばれるようになった。「ノワール」は黒という意味を持つ。毛が黒いのが名前の所以だ。
「ノワール、遊ぼう」
ねこじゃらしに似たエノコログサという草を持って、ノワールの前に差し出す。
傷口がふさがったノワールはにゃあと鳴くと、エノコログサを前足でちょいちょいとする。
「かわいい」
緩みきった顔でノワールと戯れるカテリアーナを使用人たちは遠巻きで見ている。
「愛らしい姫様とかわいい猫……」
「尊い……」
そんな使用人たちの呟きはカテリアーナには聞こえていない。だが、ノワールの耳はぴくりと動いた。
離宮に帰ってきたカテリアーナはクローディアに猫を連れてきた経緯を説明した。
しっかり手当てされた黒猫は今はクッションに丸まって眠っている。
「しかし、この猫は飼い主がおるのではないか?」
「おばあさまもそう思う? だって毛並みがいいもの。きっと大切にされているのね」
「貴族が飼っている猫かもしれぬな。それにしても……」
じっとクローディアは眠っている黒猫を見下ろすと、自然と口元が緩む。
「もふもふだのう」
「ね! もふもふよね」
クローディアも動物好きなのだ。カテリアーナの動物好きは祖母譲りなのかもしれない。
黒猫は怪我が治るまで離宮で預かることになったのだが、いつしか「ノワール」と呼ばれるようになった。「ノワール」は黒という意味を持つ。毛が黒いのが名前の所以だ。
「ノワール、遊ぼう」
ねこじゃらしに似たエノコログサという草を持って、ノワールの前に差し出す。
傷口がふさがったノワールはにゃあと鳴くと、エノコログサを前足でちょいちょいとする。
「かわいい」
緩みきった顔でノワールと戯れるカテリアーナを使用人たちは遠巻きで見ている。
「愛らしい姫様とかわいい猫……」
「尊い……」
そんな使用人たちの呟きはカテリアーナには聞こえていない。だが、ノワールの耳はぴくりと動いた。