妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
 祖母は幼い頃「きれいね」と言ってくれたが、本当は見えていないことをカテリアーナは気づいている。

 離宮の侍女や騎士たちにも見せてみたが、誰の目にもペンダントは見えていないようだった。

 ノワールはペンダントを前足で抱えて、じっと見ている。そしてカテリアーナに向かってうにゃんと鳴いた。

「きれいって言ってくれているのかしら? ありがとう、ノワール」

 それからノワールは時々離宮を訪れてはカテリアーナと遊び、日が暮れたら帰っていった。

「ノワールがずっといてくれればいいのに……」
「飼い主がおるのじゃ。度々は来れぬだろうよ」

 ここのところクローディアは床に臥せりがちだ。医師の話によると風邪が長引いているらしい。

「それよりもおばあさま。お体を治すためにも安静になさってください。このような時までわたくしの勉強を見てくれなくてもいいのですよ」

「一日寝ているのは暇なのじゃ。こうしておるほうが気がまぎれる」

 カテリアーナは自習をすると言っているのだが、祖母は頑としてきかない。
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