妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
 今日も祖母の部屋で歴史を学んでいる。人間と妖精の長きに渡る戦いについてだ。

「おばあさま、人間は妖精の国へ行けないのですか?」
「両国間で不可侵条約が結ばれておるからの。現在、人間で入国が許可されておるのは隣国のカルヴァン商会のみと聞いておる」

 遥か昔、まだ人間と妖精が共存していた頃、妖精が人間の子供を攫い、代わりに自らの子供を置いていくという『取り替え子』が行われていた。

 些細な(いさか)いは度々行われていたが、ついに種族間で戦争がおこる。

 魔法が使える妖精族と武力で勝る人間族は互いにひくことがなく、長い間争いが絶えなかった。

 三百年前、当時のエルファーレン国王とラストリア国王の話し合いによって、ようやく停戦したとされる。停戦とともに種族ごとで国を分け、不可侵条約が結ばれた。

「……おばあさま。わたくしは『妖精の取り替え子』なのですか?」
「何をいう!? そなたはわたくしの可愛い孫じゃ!」
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