妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
 それが祖母と会った最後だった。

 その夜、王太后クローディアは静かに息を引き取った。

◇◇◇

 鐘の音が響く。

 カテリアーナは離宮で静かにそれを聞いていた。

 今日は王太后クローディアの葬儀なのだ。王族の葬儀は国葬なのだが、カテリアーナは参列されることを許されなかった。

 父である国王がカテリアーナの参列を禁じたのだ。

 喪服を着たカテリアーナは離宮にある教会の祭壇で祖母の冥福を祈っていた。

「おばあさま、どうか安らかにお眠りください」

 教会の扉のほうからにゃあという鳴き声が聞こえる。振り返るとノワールが佇んでいた。

「……ノワール」

 カテリアーナはノワールがいる場所へ駆け出すと、ノワールを抱きしめた。

「ノワール! おばあさまが旅立たれてしまったわ! わたくし、おばあさまをお見送りしたかった!」

 使用人たちの前では気丈に振るまっていたカテリアーナだが、ノワールの姿を見た瞬間にそれまで溜めていたものが(せき)をきる。
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