妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
 黒い影はにゃあと鳴き、カテリアーナの下に飛び込んできた。

「ノワール! ああ、ノワール!」

 カテリアーナは半年ぶりに会ったノワールを抱きしめる。

「よくここが分かったわね。ノワールはすごいわ!」

 カテリアーナの部屋は塔の最上階なので、かなりの高さがあるはずだ。

 だが、猫は身が軽いと聞く。侵入経路はそれなりにあるのだろう。

 ノワールはカテリアーナの腕から飛び降りると、扉まで行きカリカリと爪で掻く。

「扉を開けろと言っているのかしら?」

 少し逡巡した後、扉を開けてやるとノワールは駆け出す。

「ノワール! どこに行くの? 待って!」

 カテリアーナはノワールの後を追う。
< 34 / 203 >

この作品をシェア

pagetop