妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~

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 北の塔ではアデライードのヒステリックな声が響く。

「『取り替え子』はどこに行ったの!?」
「塔の中にはいると思いますが……」
「探しなさい!」

 ダンスのレッスンでステップが上手く踏めず、イライラしていたアデライードは憂さ晴らしをしようとカテリアーナを訪ねてきたのだ。しかし妹は部屋にいなかった。

 見張りの兵士たちがカテリアーナを連れてくるまで待とうと椅子にどかりと座り、爪をかじる。

 しばらくすると、扉が開きカテリアーナが姿を現す。

「おまえ、どこに行っていたの!?」
「物置の整理をしながら、本を探しておりました」
「掃除をしていたの。おまえは掃除好きな妖精の子供なのかしら?」

アデライードは扇を取り出すと、口元を隠しオホホと笑う。口元は見えずとも嘲笑しているのが分かる。目元が醜く歪んでいるからだ。

「感心なことだけれど、わたくしが訪ねてきた時くらいはじっとしていなさい」
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