妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
 父は塔に閉じ込める時に「本物のカテリアーナが見つかるまでは……」と言っていた。

 カテリアーナは自分は本当に『妖精の取り替え子』で、妖精に攫われたほうのカテリアーナとなるはずだった子供がいるのではないかと考えている。そして、父はその行方を既に掴んでいるかもしれないとも。

 考え事に没頭していたカテリアーナは「それはどうかな?」というノワールの呟きを聞いていなかった。

「成人したらというが、どうせ国を出るのであれば今でも構わないのではないか?」
「ラストリア王国では成人しないと通行許可証が発行されないの」
「ん? なぜ通行許可証が必要なのだ」
「夢があるの。わたくしは世界を見てみたい。妖精の国も含めてね。世界を旅するには通行許可証が必要でしょう?」

 ノワールの耳がぴくっと動く。

「それは壮大な夢だが、妖精の国への入国は難しいぞ」
「隣国オルヴァーレン帝国のカルヴァン商会は妖精の国への入国を許されているでしょう? そこを頼ってみるわ。わたくしは自分の力で自由になって、世界を旅するの」
 
 夢を語るカテリアーナの瞳は輝いていた。
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