妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~

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 アデライードがカテリアーナの頬を打ったのだ。

「黙りなさい! 『妖精の取り替え子』のおまえには似合っていないのよ!」
「あれだけはお譲りするわけにはいかないのです!」

 あのドレスを着た姿をまだノワールに見せていない。

 ノワールの贈り物でなければ、アデライードにドレスを譲っても構わなかった。カテリアーナはアデライードに強い視線を向ける。姉妹の睨みあいはしばらく続いた。

 姉妹の睨みあいを止めたのは、国王だった。

「たかがドレス一着だ。アデライードに譲ってやれ、カテリアーナ。お前にはエルファーレン王国へ嫁ぐまでに何着か作らせよう」

 父はたかがと言うが、カテリアーナにはされどドレスなのだ。

 カテリアーナはぎゅっと拳を握りしめると、毅然と言い放つ。

「ご命令とあれば、エルファーレン王国へ嫁ぐことは承知いたしました。ですが、他のドレスは要りません。おばあさまの形見のドレスとあのドレスだけで十分です」

 カテリアーナがエルファーレン王国へ嫁ぐことは国王の決定事項だ。おそらく覆すことは難しいだろう。

 それだけ言うと、カテリアーナはカーテシーをして執務室を後にする。
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