妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~

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――カテリアーナが成人の儀を終えてから一ヶ月後。

 その日、ラストリア王宮は朝から騒がしかった。第二王女カテリアーナがエルファーレン王国へ輿入れをするからだ。

 三日前、カテリアーナは北の塔から王宮の客室へと移された。客室と言っても外国からの王族や貴族が使うような豪華な部屋ではない。こじんまりとした質素な部屋だ。

 塔から王宮へ移される前に、エルファーレン王国へとつながっている石壁の道はノワールに閉じてもらった。あちらの農園はノワールの知り合いが見てくれるらしい。

 鏡の中のカテリアーナは祖母の形見のドレスを身に纏っている。仕立て直しはカテリアーナが自ら行った。他の者には任せられなかったからだ。

「取り替え姫……失礼いたしました。カテリアーナ様、髪は結い上げますか? それとも軽くまとめるだけにいたしますか?」

 侍女長が『取り替え姫』と言った途端、周りの侍女たちからクスクスと嘲るような笑いが漏れる。

「軽くまとめるだけでいいわ」
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