妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
第一章

1-1

――あの頃は一生、塔の中で暮らしていくのだと思っていた。

 
 カテリアーナの朝は小さな訪問者によって始まる。小さな訪問者はカテリアーナに「朝だよ」というようににゃあと鳴く。

 目を覚ましたカテリアーナは身を起こし、伸びをすると、小さな訪問者に挨拶をする。

「おはよう。フクロウさんじゃなくて! ノワール!? まあ、久しぶりね」

 いつもカテリアーナを起こしにくるのは小さなフクロウなのだが、今日は黒猫が開け放たれた明り取りの窓に座っていた。

 ノワールと呼ばれた黒猫は窓からカテリアーナのベッドに飛び移る。きれいなアメジストの瞳はカテリアーナの頬へと向けられていた。その瞳はカテリアーナを心配しているように揺れている。

「これ? これは昨日……そのお姉様に打たれたの。大丈夫よ。少し腫れているけれど、今日は湿布薬の材料を集めにいくから」
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