妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
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カテリアーナを乗せた馬車はエルファーレン王国との国境であるシド島に近づいてくる。
「王女殿下、まもなく国境でございます」
護衛騎士として向かい側に座っているアイザックが窓の外に目を向ける。カテリアーナはアイザックの視線の先を辿り、自らも窓の外に目を向けた。
「あれがシド島」
遠くに見える湖に浮かぶ中洲シド島をカテリアーナはじっと眺める。
エルファーレン王国へ行くには、この中洲を通っていくルートしかない。
迂回ルートがないわけではない。湖の周りにそびえたつ山を越えればいいのだが、標高が高く、山道は険しいうえに、危険な獣がいる。さらに妖精の国側には魔物がいるのだ。人間が越えられるルートではない。
「殿下……。無理に妖精の国へ嫁ぐことはないのですよ。このまま隣国へ亡命するという手もございます」
「アイザック卿、それはできません。わたくしが亡命をすれば、王国騎士団に罰が下ります」
「裏工作は何とでもなります」
「なりません! 裏工作とは不慮の事故を装うことですか? それともわたくしが独断で逃げたことにしますか? どの道をとるにしても国王陛下が王国騎士団を許すとは思えません」
「王女殿下、まもなく国境でございます」
護衛騎士として向かい側に座っているアイザックが窓の外に目を向ける。カテリアーナはアイザックの視線の先を辿り、自らも窓の外に目を向けた。
「あれがシド島」
遠くに見える湖に浮かぶ中洲シド島をカテリアーナはじっと眺める。
エルファーレン王国へ行くには、この中洲を通っていくルートしかない。
迂回ルートがないわけではない。湖の周りにそびえたつ山を越えればいいのだが、標高が高く、山道は険しいうえに、危険な獣がいる。さらに妖精の国側には魔物がいるのだ。人間が越えられるルートではない。
「殿下……。無理に妖精の国へ嫁ぐことはないのですよ。このまま隣国へ亡命するという手もございます」
「アイザック卿、それはできません。わたくしが亡命をすれば、王国騎士団に罰が下ります」
「裏工作は何とでもなります」
「なりません! 裏工作とは不慮の事故を装うことですか? それともわたくしが独断で逃げたことにしますか? どの道をとるにしても国王陛下が王国騎士団を許すとは思えません」