妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
父のハーディスと会ったのは数回だが、祖母クローディアから父のことは聞いている。幼い頃、国王として即位し、狡猾な大人に囲まれて育ったハーディスは疑り深い性格になってしまったのだ。
ここでカテリアーナが逃げだせば、王国騎士団はどこまでも追求されるだろう。
たとえ『妖精の取り替え子』だとしても、カテリアーナががいなくなれば、ハーディスは王国騎士団とアイザックを許さないだろう。切り札になるはずだったのだから。
「この話は聞かなかったことにします」
それきりカテリアーナは口を閉ざしてしまった。
◇◇◇
湖に浮かぶ中洲からこちらを見送るカテリアーナの姿をアイザックは目に焼きつける。
「アイザック、行くぞ」
父である王国騎士団長ストリングスに声をかけられ、アイザックは馬首を返す。
「カテリアーナ姫の行く末が気になるか?」
アイザックと馬首を並べたストリングスは前方を見据えながら、そう問いかけてくる。
「当然です。未知の世界にたった一人で行かせるなど、国王陛下は何を考えておられるのか」
カテリアーナが七歳の時に彼女の護衛騎士となったアイザックは、王宮の塔に閉じ込められるまで、そばで見守ってきたのだ。気にならないほうがおかしい。
アイザックは幼かったカテリアーナを思い浮かべる。
ここでカテリアーナが逃げだせば、王国騎士団はどこまでも追求されるだろう。
たとえ『妖精の取り替え子』だとしても、カテリアーナががいなくなれば、ハーディスは王国騎士団とアイザックを許さないだろう。切り札になるはずだったのだから。
「この話は聞かなかったことにします」
それきりカテリアーナは口を閉ざしてしまった。
◇◇◇
湖に浮かぶ中洲からこちらを見送るカテリアーナの姿をアイザックは目に焼きつける。
「アイザック、行くぞ」
父である王国騎士団長ストリングスに声をかけられ、アイザックは馬首を返す。
「カテリアーナ姫の行く末が気になるか?」
アイザックと馬首を並べたストリングスは前方を見据えながら、そう問いかけてくる。
「当然です。未知の世界にたった一人で行かせるなど、国王陛下は何を考えておられるのか」
カテリアーナが七歳の時に彼女の護衛騎士となったアイザックは、王宮の塔に閉じ込められるまで、そばで見守ってきたのだ。気にならないほうがおかしい。
アイザックは幼かったカテリアーナを思い浮かべる。