妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
 赤く腫れている頬をさすりながら、もう片方の手でノワールを撫でる。

「ノワールは相変わらずもふもふね」

 ノワールは嬉しそうにごろごろと喉を鳴らす。

 ラストリア王国の第二王女であるカテリアーナは家族に嫌われ虐げられている。それは彼女の容姿のせいだ。陽の光をうつしたような金髪と美しいエメラルドグリーンの瞳。白磁の肌と造詣が整った人形のような顔立ちは人間離れして美しい。

 この国の人間の髪は金色か茶色が多いので珍しいものではない。瞳の色も祖母と同じだ。

 カテリアーナが生まれた頃は両親は喜び、兄姉も妹を可愛がっていた。

 だが、カテリアーナが成長するにつれて、家族の誰とも似ていないことに気づいた母は次第に娘を突き放すようになった。彼女が三歳の時だ。

「この子はわたくしの娘ではないわ! きっと妖精が取り替えたのよ!」

 人間族の果ての国であるラストリア王国には「親に似ていない子供は『妖精の取り替え子』」という言い伝えがある。
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