妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~

2-2

 しばらくすると、カテリアーナの前に湯気が立ったティーカップが差し出される。ソーサーに乗ったカップは可愛い木苺の絵柄だ。

「熱いので気をつけてお召し上がりください」
「ありがとう、カルス様」
「私のことはカルとお呼びいただいて構いません」

 ティーカップを受け取ったカテリアーナは鼻をカップに寄せ、お茶の香りを楽しむ。フルーツを使ったお茶のようだ。甘い香りがする。

 一口お茶を飲むと、ブレンドされたフルーツの甘さが口いっぱいに広がる。

「美味しい! 桃とチェリー、それにルッコリーの実が入っていますね?」

 ルッコリーの実とはルッコリーの木に生る赤い実のことだ。薬草の類で疲労回復の効能がある。

「そのとおりです。よくお分かりになられましたね。ルッコリーの実はほとんど味がないはずなのですが……」
「確かにそのままですと味はありませんが、熱を加えると少し甘酸っぱくなるのです」
「姫は薬学にあかるいようですね」

 カルスの金色の瞳が嬉しそうに細められる。

「カルも薬学に詳しい。妖精の国にある薬草はすべて覚えている」
「すべてとはいきませんね。入り込めない場所もありますし」
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