妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~

2-3

 エルファーレン王国の馬車が走り去っていくのを、カテリアーナは木の上から見送っていた。

 先ほどの休憩場所から少し離れた高い木の天辺にカテリアーナはいる。

 自分がいなくなったと知られるのにそう時間はかからないはずだ。女の足ではすぐに追いつかれてしまう。そう考えたカテリアーナは少し離れた木の上でやり過ごすことにしたのだ。

「まさか王女が木登りするとは思わないでしょうね」

 ふふふとカテリアーナは微笑む。祖母の形見のドレスの下に動きやすい服を着てきて正解だった。

 ふと、木の下から聞き覚えのある声が自分を呼んでいる。子供のような甲高い声だ。

「カティ、いるのだろう? 下りてこい。このお転婆娘!」
「え! ノワール?」

 まさかと思ったカテリアーナは木の下を覗きこむ。木の根元には見慣れた黒猫がいる。ノワールだ。

「ノワール!? 待ってて! 今下りるから」
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